その丘の一番上に大きな石があり、回りには、大きなモミの木が何本もある。その石の上で珈琲を飲み、本を読む、地上に出ているその石は実は大きな大きな岩盤のほんの一角で、この岩から那須山はできているのだ、そしてこの土地に吹く風は、ここから吹きはじめるにちがいない。そんな事を、思いながら楽しんだ場所があります、眠れない夜、そこで朝を迎えたことがありました、日の出を迎え珈琲をたて、いい朝が訪れました、朝の太陽は、見る見るうちに登り、関東平野を眺めながらのんびりしていると、その時、すぐ後ろで大きな音が聞こえだしました、大型トラックと大型パワーショベルの動く音、近くに開発される、大手企業による大規模開発によるしわ寄せがこの丘にまで来てしまったのです、あわててそこを後にして以来ずっとその丘に行く事は、ありませんでした、その丘はなくなってしまった!と思っていましたから・・・。
こんな気持ち良い日にオートバイに乗るのは久ぶり、なんだかいくら走っても疲れない、気持ち良くて気持ち良くていつのまにか、その丘の近くまで来ていた、恐る恐る立ち入り禁止のゲートをはずし、進んでみると開発の傷跡がいたるところに、オートバイで進める限界の場所にスタンドを立て、歩きはじめた、モミの木が見え出す、何本もある、モミの木は、あの時のままだ、石は何処だろう、それらしい石は見当たらない、独り言を言い笑いながら探し歩く、『おいおいどこだどこなんだ埋められちまったのか、いやこっちの方だったかな、いや、やっぱりもっと上の方かなー・・・』 すっかり土に埋もれてその石はありました。それでもその場所の空気は、凛としてモミの木は、空に向かって大きく伸びていました。2005年8月30日 最高の走り!最高の一日!