大正生まれのじいちゃんは昔気質の人で、あまり多くは語らず、照れ屋。そんなじいちゃんが好きで、いつでも一緒にいた気がする。しかし、高校を卒業して僕が上京してから、じいちゃんの口数が減ったんだよ、という話は最近になって聞いた。多くは語らないじいちゃんの口数が減った、というのだから相当だったのだと思う。いまは地元に戻り、すぐ帰れる距離に僕は住んでいる。減った口数の分、会えばたくさん話す。そして、今年から少しずつ恩返しをしたいと思い、近くの市民ホールで落語の公演があるというので、電話で一緒に観に行こうと誘った。そんなことは初めてなのでなんだか緊張。じいちゃんも照れくさかったろうな。でも声色が変わり、「おう、そうか。ありがとう。」と言ってくれた。照れ屋なじいちゃんの口から「ありがとう」という言葉を今まで聞いた事がなかった。嬉しかったなぁ…。僕はそれ以来、なんだかウキウキが止まりません。そんなウキウキを与えられる「ありがとう」を言えるようになりたい。
山のSHOZO 本間